1) ライティングの目的
・絵として見やすくすること。
特に黒っぽい背景の場合、被写体の影が背景に溶け込んでしまい、
よく見えなくなってしまうことがある。
これは、演出であっても、できるだけ避けるべきだ。
あなたはTVで何か見ようと思ったとき、番組を数秒見ただけで判断し、
チャンネルをクルクル変えた経験はないだろうか。
人が物を見て判断する時間は、わずか2秒ほどである。
しかも、画面の明るさは最も早く判断する。
その時点で、よく見えないと興味を失ってしまうのだ。
人の目が映像を捉える時の必要フレーム数
フレーム数 | 1-3 | 3-5 | 5-10 | 10-15 | 15-60〜 |
認識物 | 明るさ | 動き | 色 | 形 | ディティール |
照明によって、これらを積極的にコントロールしないといけない。
・被写体の”影”を演出して、カッコよく魅せること。
「光あるところに影がある」
これは実写では当然の真理であるが、ことCGに限ってはこの限りではない。
3DCGの場合、基本的な物体の陰影(シェーディング)はついているものの、
地面に落ちる影
被写体が別の物体から受ける影
被写体自身に落ちる影
などは、わざわざ設定しないと落ちない。
また、3DCGの照明は物理的束縛を受けない。
つまりこれは、影を照明によって自由にコントロールできる、と言うことだ。
例えば、
・重要な部分にだけ照明を当てハッキリ目立たせ、後は背景に溶け込ませる。
・ケンカのシーンなどで、地面の影だけ映して視聴者を不安な心理状態に導く。
・顔の半分を影にしてアメコミのような硬い絵にする。
などさまざまなカッコイイ演出を行えるのだ。
2) 3灯照明
実際の映画などで使われる、基本的なライティングセット。
どんなシーンでも使えるので、コレをまず、覚えて使おう。
3つのライトが1セットで、それぞれのライトに役割がある。
役割の呼び方(別称)
1)キーライト(主光源、メインライト)
2)フィルライト(補助光源、押さえ、レフ)
3)バックライト(逆光源、タッチライト)
役割の説明
1)キーライト
被写体を照らすメインのライト。
被写体を思った通りの明るさに見せる。
・質感「普通」/ライトがない状態 ・キーライトを加えた状態
2)フィルライト
キーライトによって被写体に出来た暗すぎる影を弱める。
カメラ方向から、被写体全体に光を当てる。
環境光に似た性質。
・キーライト+フィルライト
3)バックライト
キーライトによって被写体に出来た影を
背景に溶け込ませないように、被写体の背後から強い光を当て
輪郭を浮き上がらせる。実写の場合、カメラの真反対付近に置く。
・キー+フィル+バック = 3灯照明の完成
3DCGの場合、回折現象が起きないので、バックライトは、キーライトの対角線上に水平に置く。
各光源の明るさ比率(キーを1とした場合)
キーライト | フィルライト | バックライト |
1 | 0.5 | 2〜4 |