●現場的ロストCG制作裏話〜後編〜


☆ぬきうちロストシップ(12、13話)

 12話のコンテが届く…ネザード出てる…。そんなの聞いてない…

当時、ネザードのモデリングは微調整段階。 急いで画像をEGフィルムに送付、最終的なOKをとって事無きを得る。

 そして13話のコンテが届く…ゴルンノヴァ出てるよ…。やっぱり聞いてない…

当時、ゴルは初期設定のみでデザイン未確定…。

ビデオ持ってる方は、13話と18話以降のゴルを比較してみよう! きっと新たな発見がある筈だ!

☆追憶(13話)

 とはいうものの13話は内容的に面白かったので、 2カットばかりCGパートを増やしてもらいました。 ジル V.S. UG艦のあたりですね。その代わりえらい目に遭ってしまいましたが。

…もう間に合わないかと思ったっす。

☆軌道エレベーター(14話)

 スケール感を出そうと実際のスケールに近い対比で作ったら、ソードブレイカーががたがたになる、というトラブルが発生しました。 なんで? 計算誤差? 固定小数点かライトウェーブ!?。

 軌道エレベーターってのは理屈からしてその重心は静止衛星軌道上にあります。 ですから、あの描写は間違いでもっと高い筈… (でもそうするとコンテの描写からは大きく逸脱するのであのへんで抑えました。)

 でもあんなふうに軌道を一回りするリングで固定すると問題はないのかな? けど地上から見て静止してないと運用しにくいような…。 あれは低軌道でも静止速度を出すためのリング?

 そのへん詳しい人フォローお願い…。

 しかしビジュアル的に納得の行く軌道エレベーターってアニメでも特撮でも見たことないんですけど。

…とかいろいろ雑念に振り回されながら造りました。

☆L2なオブジェクト(15話、ほか)

 既に述べられている通り、紅蓮翁の脱出艇はDOGA-L2で作りましたが、 他にも、ちょろちょろとL2で作られたオブジェクトが出演しています。

・アンタッチャブルポイントの難破船(9話)
・ポンポン砲(16話)
・ゴルのフェイズアウトに吸い寄せられる残骸(18話)

…等。(まだ他にもあったかも…)

 実際はコンバートしたものそのまんま使っているというわけではなく、LW のモデラーで多少の加工は行っています…。

  

☆痛恨ゴル(19話)

 原作によるとゴルンノヴァは、常時空間を歪ませているのでその姿は常にゆらいで見える…。

だあぁ、不可能やないけど、そんなことやってられっかあああぁぁぁ。 レイトレーシングは重いんだよう。 普段よりスケジュール取ったけど、40カット近くあるんだよう。

…というわけで、ゴルはあんなふうな質感にしました。 あれはあれでカッコイイとは思っているんですが、セルでも描かれる、ということはまるで考えていない質感ですね。 困ったもんです。

☆ファランクスレーザー(25話、ほか)

 意外とこれがレンダリング重いのです。 25話の乱れ打ちのシーンなんか1カット8時間かかったりしてなかなかスケジュールを圧迫してくれました。 どうも半透明なエッジのレンダリングが重いようです。

 今にして思えば、どうせ「線」にしか見えないんだからもうすこしやりようもあったように思えるのですが、そこはそれ、修羅場はいってる時にはそんな思考力動きませんて(^^…。

☆惑星

 …作るのはしんどかった…。 テクスチャー描いてる時間がないからどうしてもフラクタルノイズとかのライトウェーブ組み込みテクスチャーへの依存度が高くなってしまいました。

 これでもそれなりに見えるんですけど…みんな同じ雰囲気になってしまいかねないので厄介です。

 物によってはテクスチャー描いた方が早かったかも…と思える程フラクタルノイズのパラメータの調整にてこずることもありました。

 

 …まあこんなところかな? なんか思い出したら番外編を書くかもしれないけどもう ないかな?

 というわけでまたこういう裏話が書ける仕事を期待しつつ、筆を置きます。では。

文責:森山 昇一

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最終更新: 98.11.02